歯周治療

Case 02: カリエスと歯周病

患者さんデータ

【名前】W.Tさん(女性)
【生年月日】1946年1月21日
【既往歴・現病歴】なし
【初診日】2000年9月5日
【主訴】全体的に歯槽膿漏で熱いもの冷たいものがしみる。特に左下の奥に少し痛みがある。
【所見】
歯肉の色は全体的に赤みを帯びていて、歯冠乳頭部の腫脹、発赤、歯の動揺など重度の歯周疾患。
ほとんどの歯に虫歯治療がされていて虫歯になりやすい口腔環境らしい。

初診時の口腔写真と検査結果

口腔写真と検査結果
歯周病の意識と自覚はあったが、我慢できる痛みなので過去の歯周治療経験なし。
プロービング値は5~8mmのポケットが大半を占め、全体的に垂直性の骨欠損、軽度の歯並びの悪さ、フレアーアウトによるアンテリアガイダンスの欠如、さらに犬歯ガイド不足のため臼歯部の咬合性外傷が見られる。
プラークコントロールが不良でプラークや歯石が多量沈着しており、粘液性の唾液と角化歯肉の薄さから長期的な治療が必要。


プラークコントロール

【1回目】
平均ポケット値5~8mm
ヘッドの小さい歯ブラシにて歯肉のマッサージ中心のブラッシング指導・炎症の強い部位へのわき腹法を指導

【2回目】
除菌効果のあるコンクールの併用とバス法の導入

【3回目】
平均ポケット値4~6mm
歯間ブラシの使用方法を説明
ブラッシング時間が延びるなど患者さんのモチベーションが上がってくる。


プラークコントロール中の口腔写真と検査結果

口腔写真と検査結果

カウンセリング

保存できない歯の抜歯、全顎歯周外科
【歯周外科処置】
●APF(歯肉弁根尖側移植術)歯肉を切って歯肉弁を作り、根尖側に移動させて縫い合せる
●CTG(結合組織移植術)歯肉が足りない部分に、他の部位から切り取った歯肉結合組織を移植する
●FGG(遊離歯肉移植術)歯肉が足りない部分に、他の部位から切り取った歯肉を移植する
約2年かけて全6ブロックを外科的処理することで、歯頚ラインをそろえ、歯肉の厚みを作り、歯並びをそろえた。
【補綴治療】
上顎:フレアーアウト強度などの問題から連結のフルブリッジ
下顎:両側の臼歯部は保険内で補綴処置
歯磨きがしやすく、食事もしやすくなった。

口腔写真と検査結果


メンテナンス

・音波ブラシの使用
・歯質強化のためフッ化合物(キシリトール)配合歯磨剤の使用
・間食回数の見直し
・医院ではPMTCを中心に3DSを導入
【メンテナンス時の内容】
1.1年ごとのX線撮影
2.6ヵ月毎の歯周チャートの測定
3.ポケット内洗浄(バイオフィルムの除去)
4.前装冠表面のステイン除去
5.除石
6.歯、歯周組織の確認
7.再モチベーション(コミュニケーション)
8.セルフケアの確認
9.身体的変化などの確認
10.3DS


患者さん本人の言葉

初めは、たかつち歯科医院へ虫歯の治療で訪れましたが、歯周病もかなり進行しているのが気になっていました。
本格的に治療をしていただき、その後は2ヵ月に1度のメンテナンス(自分で磨けないところを機械で磨いていただく)を続け、今年で4年になりました。
先生、歯科衛生士の方には本当にお世話になり、感謝しております。今後もよろしくお願いいたします。


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